岩手県立博物館へ行ってきました!

岩手県の県政100年を記念して開館した、という岩手県立博物館。
訪れたのがちょうどお花見シーズンでもあり、まずは駐車場周辺からの満開の桜の美しさに見入ってしまいました。
博物館までは緩やかな階段を少し登ります。登り終えた先には思わず走り出したくなるような芝生が広がっています。そして右方向に周囲の雰囲気に調和したレンガ色の立派な建物が…。

総合博物館ということで、岩手県の自然、歴史、文化を数々の展示品を通して学べます。尚、この記事は岩手県の地質、鉱物などの展示物に限っての内容になっております。

1.エントランスホール~2Fグランドホール

マメンキサウルスの復元全身骨格

入口入ってエントランスホール奥に、首の長い大きな恐竜の全身骨格が展示されています。中生代ジュラ紀後期、中国大陸に生息していた竜脚(りゅうきゃく)類恐竜マメンキサウルスです。

1978年岩手県岩泉町の白亜紀宮古層群(約1億年前)の地層から恐竜の上腕骨の一部が発見されました。恐竜の化石としては日本で初めての発見だったそうです。そして発見された地名(茂師)からモシリュウと名付けられました。このモシリュウの骨はマメンキサウルスのものと似ていることから、近い仲間ではないかと考えられているそうです。

展示されているマメンキサウルスのような恐竜が闊歩していたとは!

2階の’喫茶ひだまり’

博物館到着が昼過ぎだったので、まずはホッと癒されそうな名前の’喫茶ひだまり’で腹ごしらえです。なにげなく座った奥の座席、パッと顔をあげると正面にうっすらと岩手山らしき姿が!ここ数日の黄砂の影響なのでしょうか、残念ながら悠々しいお姿をくっきりと望むことはできませんでした。それでもそのダイナミックな存在感を十分に感じとることができました。

会計の際、職員の方が、
“今度お天気のいい日にまたいらしてください。四季折々の美しい岩手山をみることができます。”
と声をかけてくださいました。ありがとうございます。ぜひ!!
ひだまり定食ごちそうさまでした。

秀峰岩手山

2階グランドホール、天気が良ければはっきりと岩手山が望めるだろう場所に、岩手山についての説明パネルなどが展示してありました。

岩手山は東岩手・西岩手の2つの外輪山からなる、大型の第4紀成層火山です。約70万年前から玄武岩~安山岩質マグマによる噴火活動を繰り返してきています。標高は2,038m、その美しい姿から南部片富士とも呼ばれ岩手県のシンボルとなっている秀峰です。

2.総合展示室(2F)

岩手の地質時代から現在までの歩みが体感できるように展示されていました。岩手県の興味深い地質、化石、早池峰山の植生、歴史においては奥州平泉の黄金文化、近代においては製鉄技術などなど、とにかく盛りだくさんです。地質、岩石分野の数ある展示物の中から数種のみのピックアップです。

気仙隕石

1850年6月13日、陸前高田市気仙町の長圓寺というお寺の境内に落下した隕石で、日本で発見された石質隕石の中では最大のものだそうです。落下は多くの人々に目撃されていて記録も残されているそうです。

岩手県の地質と岩石

岩手県の大地は古生代、中生代のもの(北上山地)から新第3紀、第4紀(奥羽山脈)のものまで、地質年代の範囲が広く、日本列島形成の長い歴史を辿ることができるそうです。

緑色片岩
 奥州市江刺区
 先デボン紀の母体変成岩類、海底に積もった堆積物へ圧力が加わり変成

バラ輝石
 九戸郡野田村
 ジュラ紀付加体層状マンガン鉱床、花崗岩体の接触変成作用あり

電気石ペグマタイト
 大船渡市三陸町
 前期白亜紀、五葉山岩体中のペグマタイト

軽石凝灰岩(グリーンタフ)
 西和賀町 奥羽脊梁山脈 
 新第3紀、海底火山活動による

P/T境界黒色粘土岩(岩泉町安家)、琥珀(久慈市宇部 玉川層)なども気になりました。

ミニ学習 

P/T境界黒色粘土岩って?
P/T境界層とは古生代ペルム紀と三畳紀の間(2億5000万年前後)に起きた地球史上最大の大量絶滅を示す地層である。地球上の90%以上もの生物が絶滅したと言われており、古生代を代表する生物の三葉虫、有孔虫のフズリナなども姿を消した。
原因としては、世界中の海中の酸素が激減したため(海洋無酸素事変)という説が有力らしい。
海中の酸素が無くなることで多くの生物が死に至ってしまった。そして同時に生物の死骸などを分解し無機物に変える生物もいなくなったため、死骸は有機物のまま海底に堆積し、そのヘドロとなった堆積物が長い時間をかけて黒色粘土岩となった。

東北地方では、岩手県岩泉町安家の大鳥層で初めてP/T境界層が発見されている。

参考資料
岩手県立博物館だより、No.148 岩手県の大量絶滅の地層を追いかけて

3.大地の中の小さな輝き(1F)

鉱物コレクション

なんと1階奥の一角に鉱物コレクションが!!最初に目に入ったのがペグマタイトとその鉱物です。

紫水晶(87.5kg ブラジル産)、
水晶(153.5kg アメリカアーカンソー州 薄いピンク)
やはり大きいと俄然迫力があります。

岩手県を4地域に分けて、それぞれの地域の特徴ある鉱物が数多く展示されています。例として一種類ずつではありますがご紹介いたします。

北部北上山地の鉱物
 黄鉄鉱縞状鉱石(宮古市田老 田老鉱山) 

釜石鉱山周辺の鉱物
 石英、鉄斧石、灰鉄輝石、緑簾石縞状スカルン(釜石市甲子町 釜石鉱山)

南部北上山地の鉱物
 結晶質石灰岩(雲龍大理石)
 一関市東山町 坂本沢層 古生代ペルム紀

奥羽山脈地域の鉱物
 犬牙状方解石(岩手町)新生代新第三紀

さらに南部鉱物コレクション(東北大学名誉教授、南部松夫博士により寄贈された鉱物)、岩手から発見された新鉱物、のコーナーもありました。

4、屋外展示の植物園、岩石園

博物館の外に、植物園、岩石園があります。植物園というのはおなじみですが、岩石園ってちょっと珍しいなと思いました。
岩石園では庭園の小道の両脇に岩手県内にある岩石が庭石のように良い感じに置かれています。説明パネル付きです。

岩石園はこんな感じです。

5.まとめ

今回館内を1時間半ぐらいかけてぐるっと見学しましたが、全然見足りませんでした。岩手県の地質はとっても複雑な印象ですが、各地域で今に至るまでの進化の過程が違い、地質、構成する岩石、鉱物も特徴的で興味が増しました。

ぜひまた訪れてみたいと思いました。今度は岩手山をバッチリ望める晴天の日に..。中には入りませんでしたが、体験学習室もあったので小さなお子さんたちも楽しい体験ができそうでした。
岩手山を望める丘のミュージアム、というニックネームにピッタリの自然豊かで魅力あふれるおすすめの博物館です!

鉱物等展示物の情報はメモ取り不足だったところは、岩手県立博物館のHPのデジタルアーカイブを参考にさせていただきました。

可愛い桜の木!

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