
秋田大学鉱業博物館は、秋田市にある秋田大学手形キャンパス内の小高い丘の上に建っています。
円柱形の可愛らしい建物ですが、その中には20,000点を超える貴重な標本が所蔵されています。
石好き、地学好きな方にはもちろん、あまり興味ないな、という方でも長い年月をかけて自然が創り出した造形美に驚き、感動を覚えることでしょう。
また、日本の鉱工業を支えてきた技術を肌で感じることができる場所でもあります。
展示物を各フロアごとにご紹介
数が数だけに全然紹介しきれませんが、自分なりに面白いと思ったポイントをピックアップしてみました。初心者向けの記事となっております。
1F 鉱物、鉱石の展示コーナー
まずは驚くほど多くの鉱物、鉱石の標本に圧倒されます。
これだけの貴重な鉱物、鉱石を収集したことも素晴らしいですが、それを分類、展示まで持って行った工程も大変な作業だったろうな…。
頭が下がります。
結晶の形、自形の美しさ
え?これが人工物ではなく自然にできたものなの?と不思議に思えるほどの美しい形の自形結晶に感動です。
石英(日本式双晶 可愛いハート型結晶)
黄鉄鉱(正6面体の結晶 クラスター 各平面が真っ直ぐ 薄黄で金属光沢あり)
磁鉄鉱(正8面体の結晶 クラスター 黒色で光沢あり)
ルビー(母岩に埋まったルビーの切断面における綺麗な大型六角形結晶)
大きな鉱石
大きくて迫力があるだけに結晶の美しさが引き立っています。
石英(荒川鉱山)
紫水晶(ジオード ブラジル)
美しい青色の石
青色が好きなので勝手に青系の石を選びました。
チャロ石(紫色を基調とした印象的な模様 ロシア)
天青石(綺麗な薄い青色 マダガスカル)
体験コーナー
鉱物の発光性を見てみよう!
黒いカーテンで覆われたコーナーが…。
カーテンを閉めてスイッチを押すと、鉱物達に紫外線が照射され発光鉱物が緑や赤色に!
特に珪亜鉛鉱の鮮やかな緑色が印象的でした。
2F 地球の構成と歴史のコーナー
太陽系の中の地球、から始まり、火山、岩石、地球の生命史、さらに秋田の成り立ちなど、標本、パネル、アニメーションなどで一通り学習できるようになっています。
2F展示室入口正面に、黒部川花崗岩(黒部川ダムを支える岩盤)のボーリングコアがドーンと御出迎えです。
地球にはない岩石
なかなかお目にかかれない地球外の岩石さん、初めまして。
隕石パラサイト(隕石の中でも非常に珍しい石鉄隕石 見るからに地球上にはない感じ)
はやぶさが持ち帰った小惑星りゅうぐうの岩石片
地球ダイナミクス
プレートと大陸移動のアニメーションが面白いです。
過去6億年、さらに2億年後までの変化を見ることができます。
今後現実に変化していく大陸移動をこの目で見ることができないのが残念です。
岩石コーナー
岩石の面白さも体験できます。
偏光顕微鏡で岩石切片の組織を観察できます。なかなか貴重な体験です。
サヌカイトの石琴でちょっと遊べます。
球状花崗岩(まんまるおにぎり? 山形小国町)
多くの化石標本
化石標本もかなり展示されています。
ティラノサウルス頭骨のレプリカがすごいです。改めて恐竜の大きさを実感できます。
オルトセラス、アンモナイト、などなど…。
ミニ学習 黒鉱って?
秋田の成り立ちコーナーに登場する黒鉱、グリーンタフについて調べました。
黒鉱とは亜鉛、鉛、銅などの主成分の他、金、銀、カリウム、ゲルマニウムなどを副成分元素として含む、日本を代表する鉱物である。
黒鉱鉱床は、グリーンタフ地域と呼ばれる新生代の、主に海底の火山活動に伴って生成している。
グリーンタフとは新生代火山活動の結果、厚くたまった堆積物が後に続成作用や熱水変質作用により、主に粘土鉱物の変質鉱物ができ緑色の岩石となったもの。
グリーンタフは北海道、東北、山陰地方にわたって広く分布しているが、黒鉱鉱床の分布(黒鉱ベルト)は限られており、約1400万年前の地層にのみ分布している。その中でも特に秋田県北鹿地域に大規模な鉱床が集まっている。現在は採掘されていない。
参考資料
黒鉱(鉱業博物館の自由に持ち帰ってもよいA4版資料)
地の底のめぐみ -黒鉱の化学- 鹿園直建著
3F 採鉱、製錬などのコーナー
秋田県は豊富な地下鉱物資源に恵まれ、その所以たくさんの技術、技術者を排出し日本の鉱工業に貢献してきました。
その中心になったのが旧秋田鉱山専門学校、そして秋田大学鉱山学部、現在工学資源学部。
先人が培ってきた技術を肌で感じることができるコーナーです。
鉱山設備のミニチュア模型
採鉱、製錬、坑内システムなどの模型がよくできていて面白いです。
また、露天掘り鉱山における重機のミニチュア模型として開発用重機、油圧式ショベル、発破孔掘削用ドリルなど、本物の1/??の大きさの精巧なミニチュアがすごいです。
働く車、などが大好きなお子さんにはワクワクものです。
石油地帯だった秋田だけあって、石油関連のコーナーも充実しています。
モビルグリースから重油までの液体の色の変化も確認できます。
まとめ
とにかく展示されている標本数が多く、1回の見学(今回約2時間)ではちょっと見足りないかな…。
それでも鉱物の美しさや、数々の貴重な標本に感動すると同時に、鉱工業に貢献してきた技術者さん達の情熱などもなんとなく伝わってきました。
帰りにミュージアムショップでジェムストーンなどを購入できます。
十分楽しめるおすすめの博物館です!
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